OCEAN to RIVER

海の大学出身。アウトドア業界を経て、釣りの道に。

太田川のサツキマス

2018年4月中旬、僕は太田川へ。

 


 

”皐月鱒” ー名前の通り、5月になると海から生まれ故郷の川に帰ってくる。

 

僕は最盛期より少し早い時期から川に浸かった。

広島にあと何年居られるか、このシーズンがサツキマスを狙える最初で最後の年になると悟ったかのように...

 

2018年のシーズンを迎えるにあたり、1年前から準備してきた。

竿、リール、糸、ルアー...すべてにおいて不足の無いようにしたつもりだ。

 

実践では昨秋のスズキ狙いで太田川水系には毎日浸かったおかげからか、流れの釣りに対して苦手意識はなく、自分の思う場所、流し方で狙うことができた。

 

 

このシーズンにおいては密着取材も入っていて、4月下旬から5月上旬までの2週間は釣り画報の記者さんも同行。

 

釣った魚の写真を撮ってもらうことは過去にもあったが、釣りするところから同行してカメラに収めてもらうのはなかなかハードルが高い。

 

しかし、僕は「必ず釣る」と宣言した。

 

 

”難攻不落のサツキマス”と謳われているだけあって取材は難航。

釣り仲間が4月下旬に1匹釣り上げたことによって取材は成立したが、僕はまだ釣っていない。

 

焦る気持ちを落ち着かせ、休みの日は全て朝から晩まで12時間以上、時には14時間以上も竿を振った。

「何も分からない今はアタリがあるまでとにかく釣り場に立たないと先が見えてこない」そう自分に言い聞かせた。

それから幾度かアタリを取れるようになった。

 

そうして迎えた5月3日。

朝マズメに1度アタリがあり、「今日は何か得られるかもしれない」そう思った。

 

正午が過ぎ、先ほどよりも上流のポイントへ。

数日前に降った雨の影響を受けて増水していたが昼過ぎには良い水位に。

天気は好天、水温計は朝より2度ほど高い数字を示していた。

 

狙った場所は太い流れの効いていて、瀬が2-3箇所ほど続くポイント。

釣り下りながら小さな変化を丁寧に探った。

 

 

ダウンクロス気味にキャストしたルアーが下流に流れ、ターンした直後。

答えはすぐに出た。

 

反転してから強烈なダッシュ

さらにローリングする銀色の個体。

 

流れに乗って右へ左へ走り回る魚を必死に止める。

僕がファイトを始めた直後に記者さんは川に飛び込んだ。そしてカメラを向けて何度もシャッターを切ってくれた。

 

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興奮度も緊張感も最高潮の中、ランディング。

喜びが爆発し、叫んでしまった。

 

釣り上げたのはサツキマス42.5cm。

海から遡上したばかりの銀鱗輝く美しい魚体だった。

 

 

こんなに熱くなれる魚は今までにいなかった。

 

 

川で生まれ、海で育ち、生まれた川に帰ってくる…

そんなサツキマスの虜になってしまった。

 

また、ここから本流トラウトに夢中になるシーズンが始まった。

 

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 この模様は2018年の釣り画報6月号に掲載されました。

過去の記事ではありますが機会がありましたらぜひご覧ください。