思い出のスズキ
今から2年半前、静岡に住んでいた時のこと。
当時は大学の授業が終わると友人と砂浜で待ち合わせ、ナブラ(小魚が水面に追われて海面が沸き立つ様子)を見つけたらそこを目掛けて走ってルアーを投げる-
今では考えられないほど海と密接した生活をしていた。
5月中旬、ハマチ(イナダ)が浜で釣れていると情報が入った。僕の大学では大学裏の海で釣果が上がるとどこからか話が回ってくる(笑)
同行者は中禅寺湖遠征を共にした友人。風が吹くとウインドサーフィン、風のない日は竿を持つ海バカである。
とある日、大学付近の砂浜には釣り人の姿がチラホラと見られた。
ナブラを確認するも中々釣れない砂浜での釣りにダレていた僕と友人。
この日はナブラが何回も接岸した。浜を走ってはルアーを投げ、また違うところでナブラが沸けば走ってルアーを投げ入れた。
だがいつも通り、魚からのコンタクトはなく、テトラ帯で待機。
その時、友人が波打ち際で僕を呼んだ。
「イワシ打ち上がってるで。近くになにかおるかもしれん」
それまでメタルジグを結んでいた僕は友人に隠れてミノープラグに付け替えた。
外洋向きに位置する砂浜、とても大きなテトラポットの上に立ち、ルアーを投げ入れる。
一投目、10メートル手前でルアーに何か当たった。
続いて二投目、先ほど反応のあったコースから少しズラして流す。
ゴッッ、っと糸を通して竿に伝わる衝撃。
そこから始まるテトラ際での攻防。
走りからして狙いのハマチではないと予想できた。
あまり糸にテンションを掛けると切れると思い、慎重にやり取り。そしてランディング。
苦手な砂浜での釣りで魚と会えた。
相手は川でよく狙っていたスズキ74cm。セイゴクラス(60cm未満)しか釣れなかった僕にとってメモリアルな魚だった。
写真は内股がキモいが許してほしい。
今まで何十匹、何百匹も釣ってきたうちのたった一匹の魚との出会い。
今でも付き合いのある学生時代からの友人との思い出。
魚とやり取りしたのはたった一瞬の出来事だが数年経った今でも思い出せる。こんな思い出の一匹との出会い、そして友人との思い出が今の自分の支えとなっている。